私は頑固な性格で、今まで育苗をしてきませんでした。
自分の中の勝手なイメージがあって、人間の手をかけて育苗してしまうと、あくまでも自然に任せて育てる自然栽培とは違うものになってしまうような気がしたんです。
直播き(地面に直接種を蒔くこと)じゃないと自然栽培じゃないんじゃないかと思っていました。
それはそれで当たっていたのかもしれないし間違っていたのかもしれませんが、いずれにしても実際4年間「自然栽培」をした自分なりの結果として、育つ作物は育つけど育たない作物は育たないという結論に達しました。
冬の終わり頃からワクワクしてタネを選び、春先に「今年はこれを育てたい、あれも育てたい」と色々と新しい作物のタネを植えてみても、結局芽を出して収穫までたどり着いてくれる品種は毎年オクラ、エダマメ、キュウリ、カラシナ、キヌサヤ、ソラマメ等々の決まった品種だけです。
4年も同じ野菜だけ育てていると、いや、言い方を変えると同じ野菜しか育てられないと悲しくなるものです・・・。
というわけで、今年の春は頑固な自分を反省して、ナスとトウガラシ(シシトウ)の育苗にチャレンジしました。
ナスもトウガラシも代表的な夏野菜ですが、改めて育苗の勉強をしてみようと手持ちの本を読み返してみても、不思議とタネから育てる育苗方法は書いていなかったので、図書館で育苗の本を借りてきました。
育苗の本なので当然育苗を推奨しているわけですが、私なりに納得出来た部分は、寒さに弱く暑さに強い夏野菜は、日本のような四季のある(気温の変化が大きい)場所では、そもそも直播きに向いていないというところでした。
夏野菜の原産地のような常夏の場所なら直播きでも育てられるかもしれませんが、日本のような四季がある場所では、春になって夏野菜に向いている暖かい日もあれば、夏野菜が耐えられないくらい寒い日もあるので、我が家の場合だと、せっかく芽を出してくれても消えるようにいつの間にかいなくなってしまいます。
夏野菜の育苗をするとしたら、寒い時期(3月頃)から人間の手である程度保温しつつ、虫の侵入も防ぎながら大事に育苗し、生育適期になってから苗を定植(地面に植え替えること)すると、成功率がグッと上がるとのことです。
確かに苗から育てる方がタネから育てるより簡単でしたが、こういう理由があったんですね。
そんなわけで頑固な私も夏野菜の育苗にチャレンジしてみました。
育苗とは言っても、ちゃんとした設備があるわけではないので、虫にも食べられるし、ホームセンターで売っているような立派な苗ではなかったのですが、「とにかくやってみよう!」と、育苗した苗を畑に定植したのが今年の5月半ばでした。
嬉しいことに育苗したナスとトウガラシは、細々ながらも全て収穫まで辿り着いてくれました!
育苗をの時点では発芽率の良かったナスに期待していたのですが、実際に畑に植え替えてみると、それぞれの原産地の個性が出たのか、立場が逆転してトウガラシの方がナスよりも元気で収穫が多かったです。
やっぱり育苗したとは言え、作物によって土壌、気候の向き不向きは出てきますねー。
トウガラシは一応「ナス科トウガラシ属」というナスの仲間ではあるようですが、中南米の砂漠に近い土地が原産なので、我が家のように乾燥して痩せた土地でもうまく適合できたようです。
一方のナスの原産は東南アジアの高温多湿で土壌の栄養が豊富な樹林帯なので、肥料や水をあげる一般農法ならともかく、乾燥しやすい我が家の庭には向いてないようで、我が家の場合はブロック塀近くの日陰ができる南側の苗は細々と収穫できましたが、日当たりが良くて一番乾燥する北側のナスは苗自体が小さく実付きも良くありません・・・。
とはいえ、なんとかいくつか収穫することが出来たので、今回はその「貴重なナス」で、浅漬けを作ってみたいと思います。
品種は「翡翠ナス」という、皮の色が黒くならないタイプのナス(青ナス)です。
本当はカットしてから漬けた方がちゃんと浸かるのですが、せっかくの白い翡翠ナスを活かすために丸のまま塩麹で一晩漬けてみました。
何しろ貴重なナスなのでなるべく無駄にしないように、手でガクの部分を取ってからヘタをギリギリのところで切り、塩麹と鷹の爪を入れて馴染ませます。
実際切ってみると、切ったそばから切り口が茶色く変わっていくので時間との勝負でした。
翌朝、食べやすい大きさに切って先日収穫したミョウガを薬味にして頂きました。
食べてみると、浅漬けということもあってフルーティーで涼やかです。
本当は夏野菜ですが、結局まともに収穫出来るようになってきたのは8月後半からでした。
とは言えトウガラシ、ナス共に育苗して一応育てられた手応えはあったので、それぞれ自家採種して来年また育苗してみたいと思います。
自家採種した作物は年々その土地の環境に慣れて、発芽率も収穫量も増えると言われていますが、我が家の場合だと例えばマリーゴールドです。
昨年コンパニオンプランツでマリーゴールドのタネを蒔いてみましたが、花を咲かせてくれたのは1株だけで、今までみたことがないほど小さい花でした・・・。
我が家ではマリーゴールドをタネから育てるのは無理と諦めていましたが、昨年咲かせた花からこぼれたタネがあったのか、今年は植えてもいないのに昨年と同じ場所からマリーゴールドが生えてきました!
しかも、今まで見たことがないほど花を咲かせてくれて、9月の今現在も花盛りです。
こんなことってあるんですね。
初年度だった今年は調子が悪かったナスですが、自家採種して植える場所を工夫すれば、もしかしたら来年は豊作かもしれません。
夢が広がります(笑)。
秋冬野菜の育苗|保温できても保冷は難しい・・・
今まで品種を増やしたくても増やせませんでしたが、育苗には色々な品種にチャレンジできる可能性を感じたので、今年は秋冬野菜も育苗してみることにしました。
今年チャレンジする秋冬野菜は、
- ロマネスコ:アブラナ科アブラナ属
- コールラビ:アブラナ科アブラナ属
- 赤丸サラダ菜レタス:キク科アキノノゲシ属
- チコリ:キク科キクニガナ科
- ミツバ:セリ科ミツバ属
- 日本ほうれん草:ヒユ科ホウレンソウ属
- ニラ:ヒガンバナ科ネギ属
です。
ちょっと欲張りすぎたかもしれません・・・。
勢いだけで秋冬野菜の育苗を始めてみましたが、秋冬野菜の育苗は夏野菜に比べて難しいですねー。
秋冬野菜には、夏野菜と真逆で寒さには強いけど暑さに弱いという特徴があります。
寒さに弱い夏野菜は、不織布やビニール袋等でプランターを覆って自分なりに保温しながら育苗できましたが、秋冬野菜は7〜8月という連日30度を超える猛暑の時期に育苗を始めなければいけません。
日当たりのいい所に置いておくと暑さと乾燥ですぐダメになってしまうし、かといって日陰で育てると日当たりが足りなくてせっかく芽を出してもヒョロヒョロと徒長してしまいます・・・。
我が家のように育苗専用の設備や場所がない場合、選択肢は日陰におくか日向におくかの2択しかないのですが、暑さと乾燥で完全にダメになってしまうよりも幾分マシかもしれないという理由で、現在北側の朝日しか当たらない場所で育苗しています。
夏野菜の育苗と違い、不織布等でカバーすると温度が上がってしまうので、カバーをせずに育苗していたら早速害虫に食べられました・・・。
秋冬野菜の育苗は本当に難しいです・・・。
今年の9月は例年に比べて暑すぎるので、一応保険でもう一度育苗できるように残ったタネを浸水している最中です。
育苗だけではタネを使い切れないので、もうちょっと涼しくなったら残ったタネ達は直播きもしてみようと思います。
果たして今年の秋冬野菜はどうなることでしょう・・・。
関連記事「自然栽培4年目|初めての育苗|ナスとトウガラシ」
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