外国人就労拡大に思うこと

日本は豊かな国?

新年早々、かたい話で申し訳ないです。


すでに可決されてしまいましたが、非正規雇用、派遣社員を体験してきた立場から、どうしても一言言いたくこの記事を書きます。


そもそも現在の日本という国が、海外から「ジャパニーズドリーム」を夢見て来るに値するのかな?と感じています。


国全体のGDP(国民総生産)で見ると、世界第3位の我が国ですが、正直「自分は世界三番目に豊かな国に住んでいる」と感じる方が、どれだけいるでしょうか?


GDPだけで見てしまうと、経済の実像は浮き上がってきません。


なぜならGDPは人口数に比例するからです。


GDPを人口数で割ることによって実像に近づくのではないでしょうか。


2018年4月に発表されたIMF(国際通貨基金)の情報では、日本人の一人当たりのGDPは世界で25位。G7(主要7か国首脳会議)の中ではイタリアに次いで6位。


つまりG7の中では下から二番目です。


とても世界第3位と誇れるほど豊かな国ではないというのが私の実感です。





私が非正規雇用になるまで

ここからは、私自身の経験したことになります。


私は日本にあるトルコの商社に勤めていましたが、2008年のリーマン・ブラザーズショックで残念ながら倒産してしまい、某飲食店に正社員として入社しました。



結局私の勤めていた会社も倒産してしまうのですが、そこから正社員を目指そうと思っても、当然不景気なので、そんな就職先はないわけです。


当時テレビをつければ「派遣村」や、「ネットカフェ難民」という言葉が飛び交い、自分はそのスレスレのところにいると思うと、本当におかしくなりそうでした。


語学力を生かして、「将来海外に行きたいな」と思っていた私は、海外に事業展開している飲食業ならチャンスがあるかもと思い、某飲食店を選びました。


さすがに本社系列の直営店は落とされ、ダメ元で履歴書を送ったのが某オーナーの某フランチャイズ店だったんですね(笑)。


前置きが長くなってしまいましたが、その後義母の介護で、某飲食店を辞めることになります。



シフトが不規則であるということと、拘束時間が長いので、とても義母の面倒を見ながら続けることは出来ませんでした。


あれが私の正社員として働ける、最後のチャンスだったのだと思います。


まー、かといって、某飲食店で、一般的な正社員としての恩恵があったわけでは全くなかったのですが(笑)。





日本は階級社会?

さて、派遣社員になった私ですが、最初の一年目は良かったんです。


私の派遣先は某大手企業、最近民営化されたと言えばわかりやすいでしょうか(笑)。


そこで施設の修繕と税金関係の書類を作っていました。


問題は2年目以降、私の担当していた仕事を、まるまる外注することになったことでした。


当然私の仕事は無くなります。


最近知ったのですが、職場で仕事がなくなるのはとくに珍しい状態ではなく、「社内ニート」と言われているらしいですね。


通常、正社員の方や、定年退職後に再雇用された方に多いようですが、私の場合は派遣社員という立場で社内ニートになりました。


人材ではなく経費扱いの契約社員に仕事がないというのは、双方の立場から考えても理解出来ませんが・・・。




義母の介護も大変は大変でしたが、それよりも、職場で仕事がなくなるという現実には参りました。


当時は義母の膨大な借金の返済にも追われていたので、辞めるに辞められないし、辞めたところで、そこより条件のいいところで仕事をできる保証は、どこにもないわけですから。


職場で仕事がなくなるとどうなるかというと、もうパソコンの前に座って、仕事をしているふりをするしかありません。


もともと半官半民の会社で利益を考えなくても良い組織だったので、それでも通用してしまう・・・。


どう考えてもおかしいですよね?


その後、派遣会社の営業担当に、仕事がない現状を話して派遣先を変えて欲しい、それが駄目なら、せめて仕事がある他部署へ移動したい旨、再三交渉しました。



派遣先の部長に相談しても変わらず、派遣会社の社長に直接訴えても、結局状況は変わりませんでした。


時給は30円上がりましたが、私が欲しかったのは「仕事」であって、そういうことではなかったんですよね(笑)。


散々手を尽くして、私が彼等の言葉から学んだのは、その企業での「派遣社員」は「人間」ではなく、コピー機、FAX、パソコン等の、オフィスレンタルの機材と同じカテゴリーにあったようです。


前年度に、「これこれの仕事に何人必要だから」と派遣社員を発注する。


契約期間中に、契約書に書かれている仕事がなくなるのは大きな問題ではなく、前年度に組んだ予算を使い切らないと、翌年同じ派遣社員枠では予算が取れなくなるので、「誰でもいいから、いてもらわなくては困る」ということです。


これには本当に参りました。


朝8時半から夕方5時半まで、ちゃんとスーツを着て、ネクタイをして、パソコンの前で仕事をやっているふりをする・・・。


精神的に本当にきつかったです。


最後のトドメは2015年の派遣法改正。


コンプライアンス研修の名のもとに、毎週水曜日、「派遣社員は3年以上働けません」と、正社員が読み上げるわけです。


それはそうなんだろうけど、一体私達派遣社員にそれを聞かせて、どうしろというんでしょうか?


ここで問題は(私の場合年齢もありますが)、今の日本の社会で、一度非正規雇用になってしまうと、正社員として働くことはほとんど不可能ということです。


それが介護であれ、どんな事情があるにせよ、一度正社員としての道を外れてしまう、あるいは最初から正社員になる機会を与えられなかった人間が、後からどんなに努力をしたところで、社会的にも経済的にも、真っ当な社会の歯車に戻ることは、奇跡でも起こらない限り不可能です。


そもそも、今の人事システムでは派遣社員の経験自体が、経験と認められていないのではないでしょうか?


恐ろしい社会ですよね。



正社員と非正規雇用社員の間には、圧倒的な経済的格差があるわけで、しかも個人の努力では覆しようがない・・・。


私は貧困は連鎖するものと思います。


お金持ちはよりお金持ちに。


貧しい人はより貧しく。


一億総中流階級と言われたのも今や昔の話、これからどんどん富裕層と貧困層の格差は広がり、互いに行き来することのない階級社会を、より鮮明に作っていくのではないでしょうか。





私達に外国人就労拡大の準備はできているのか?

派遣社員の時、フリーランスの道を選んだ現在、私自身「日本人」として守られている実感はありませんが、これからその「日本人」ですらない「外国人」を受け入れる・・・。


一体これはどういうことでしょうか。


私の見解は、元々日本に内在している非正規雇用という貧困層の下に、さらに「外国人の貧困層」を作ろうとしているようにしか見えないということです。


日本で教育を受けた私たち日本人でも、一度非正規雇用になると這い上がれないのに、より一層ハンディのある外国人の、しかも「単純作業労働者」を受け入れる・・・。


はたして夢や希望を持ってせっかく日本に来てくれる彼等、彼女達は、いわゆる文化的なちゃんとした生活を、日本で送ることができるでしょうか?



百歩譲って、今回の法改正で日本に来てくれる方々は、まだいいと思います。なぜなら彼等、彼女達は自分の意思と覚悟で日本に来てくれるのですから。


私が一番心配しているのは、その下の彼等、彼女達の子供の世代です。これから産まれる子供達は、自分の意思で日本に来たわけではありません。


両親が給与、労働条件も含め、日本でちゃんとした扱いを受けなかったとしたら、その子供達は一体どうなるでしょう?


私は「外国人就労拡大」を考える時、どうしても思い出してしまうのが、「沖縄のマングース問題」です。


1910年にハブ、ネズミ駆除を目的に対した議論もなく沖縄に導入されたのがマングースでした。


当時の東京大学・渡瀬庄三郎名誉教授のほぼ一存で決まったそうです。


しかしハブは夜しか活動しない夜行性、マングースは昼しか活動しない昼行性、それぞれの活動時間が正反対のため、マングースとハブは遭遇すること自体が極めて稀で、そもそもマングースは蛇を専門に食べる動物ではない。


私達日本人は、1980年台に入る70年以上この事実を知らなかったんですね(笑)。


マングースの糞を調べてみると、ハブを食べていないどころか、天然記念物のような希少な動物を食べていることが判明し、今では3万匹以上に増えたマングースは「有害害獣」として駆除されています。


なんて悲しいことでしょう・・・


たかがアメリカザリガニ、たかがウシガエルと、日本に導入して、結果日本の生態系を壊してしまう・・・。


そういう例は枚挙に暇がありません。


間違った当時の常識で導入した外来生物が、その後有害害獣として駆除されてしまう・・・。


「人間と動物を同列で比較するのは間違っている!」というご批判を受ける覚悟で申し上げれば、「外国人就労拡大」と「沖縄のマングース」は、私には非常に似ているように見えてならないのです。


私自身、会社倒産、義母の借金•介護問題、非正規雇用と、ある程度日本社会の底辺を味わった来た人間として、今回の日本政府の判断を非常に心配しております。


私の心配が杞憂に終わること、そして日本に来てくれる外国人の方々が、無事日本で生活していけることを、心から願っております。






4件のコメント

外国人就労拡大、また現在の日本の就労状況を冷静に分析した記事で大変興味深いです。
何より一番の問題は、上で挙げられている懸念を恐らく全て理解した上で国が代表して外国人労働者の、いわば搾取とも言える雇用の基盤が整ってしまったことかと。
人手不足と安く働いてくれる人手不足を無理やりイコールで結んで非正規や派遣を外国人で増やした先に、人口一人当たりのGDPの成長が果たして訪れるのでしょうか。

外国人就労拡大の目的が、そもそも一人当たりのGDPの成長を目的としていないように私には思われます。
元々日本に内在している日本人の非正規雇用者、貧困層の助けにはならず、一部の富裕層のための法改正のように思えてなりません。
「幸せ」や「文化的生活」に日本人も外国人もなく、日本人ですら這い上がれない貧困層の下に、さらに外国人の貧困層を作るだけなのではないでしょうか。
一時的にも日本のためになると、この法案を作り、国会で通したのでしょうが、近い将来日本社会の根幹を揺るがしかねない問題を内包しているのではないかと心配しております。

なるほど、全くの同感でございます。
貧困層やその下の貧困層(外国人を含む)のおかげで企業の利益は増え経済格差にも繋がると。
数で言うと中間層以下の国民の方が多いのではないでしょうか。
その者たち全員が民主主義とはなんたるかを考え、理解し、主張していく必要があるのでしょうね。
また、現時点で日本を好きでいてくれている外国人の期待だけは裏切らないで欲しいものです。

そうですね•••私が感じるのは、日本人の非正規雇用も、外国人労働者も、あまりにも人間ではなく、「道具」として扱っているように見えてならないということです。
おっしゃる通り、せっかく日本に来てくれる外国人の方々の期待を裏切らないでほしいですね•••

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です