日本のお米の美味しさは、日本を離れてみないとありがたみが分かりにくいものです。


そもそも「炊く」という文化が珍しいようで、中国ではスチームライスといって蒸らす、欧米ではパスタのような感覚に近いのか茹でるのが普通のようで、日本のお米を研いで炊くという調理法は世界的に見るとあまりないのかもしれません。


オーストラリアに留学中、現地で一番日本米に近いように見えた「サンライス」というお米を買ってきては、せっせと鍋(当時は普通の鉄鍋)で炊いていましたが、日本に帰国して、最初に口にしたセブンイレブンのお弁当のお米があまりにも美味しく、「こんなに違ったんだ・・・」と、びっくりしたものです。


考えてみればほんのちょっと前まで、税金は年貢という形で「お米」で支払われていたくらい、お米に強いこだわりのある日本には、それはもう色々な炊飯器があって、中には10万円を超えるような、庶民では考えられない超高価な炊飯器もあります。


この超高価な炊飯器で炊いたご飯を食べたことがあるのですが、金額設定は伊達ではなく、本当に美味しかったです。


ただ、どんなに美味しく炊けても高い・・・。


日本に帰国後、どの炊飯器を購入しようか色々悩んだのですが、保温機能は捨てがたかったものの、結局、電気炊飯器ではなく炊飯用の土鍋を購入しました。

はじめちょろちょろ中ぱっぱ、じゅうじゅう吹いたら火をひいて、ひと握りのワラ燃やし、赤子泣いてもふた取るな

という、当時かまどでご飯を炊いていた頃のご飯を炊くコツの歌がありますが、土鍋は熱伝導が悪いので、強火で火を入れてもゆっくり温度が上がり、途中弱火にするとゆっくり温度が下がっていき、最後に火を止めても残った余熱で蒸らしができるという、ことお米を炊くということに関しては優れた調理道具です。


とは言え、面倒臭いと言えば面倒臭い。


お米を研いでしまえば、あとはスイッチ一つで勝手に炊いてくれ、「ピー」と音までなって炊き上がりを教えてくれる電気炊飯器に比べ、土鍋は炊いている間はガスコンロを一つ占有してしまうし付きっきりになるので、洗濯物を干しに行ったり掃除に行ったりできない、タイマーもないし保温機能もないので、現代の忙しい生活環境の中では使い辛いというのが、なかなか土鍋炊飯器が普及しない原因ではないでしょうか。


そういう不便さも分かった上で土鍋にしたのですが、慣れるまでは大変でした。


まず、一応炊飯用土鍋とは言え、購入したばかりの土鍋はご飯がくっつきます。


何度も炊いているうちに馴染んできたのかくっつかなくなりましたが、最初のうちは洗うのは大変だし、せっかく炊いたご飯がもったいないしでした。


あとはご飯が吹いてくる時と吹いてくれない時があって、普通はご飯が吹いて弱火にするところを、吹いてくれないと強火でそのまま炊き続けて炭のように焦がしてしまうこともありました。


私はレシピや説明書を読むのが苦手な人間なのですが、その後説明書を読んで、「強火で7分」と書いてあったので、初めてiPhoneのタイマー機能を使うようになり、ご飯が吹いても吹かなくてもご飯を炊けるようになりました。


そんな独身時代から使っていた土鍋、義母と同居している時も見守ってくれていた土鍋のフタを、先日私の不注意で割ってしまいました・・・。


ご飯がくっつかなくなるまで育てた愛着のある土鍋だったので、それはもうショックでした。




こういう時、女性は強いというか、そもそも愛着がなかったのか、私がクヨクヨと感傷に浸ってカチャカチャ割れ物を掃除していると、嫁がアマゾンで土鍋を見つけて、気付いた時にはもう発注していました。


しばらくパスタかパンでいいやと思っていたのでビックリです。


翌朝、お昼ご飯前に、もう新しい土鍋が届きました。


今までの平たい土鍋と違って、ぶんぶく茶釜のようなまんまるい土鍋でした。


まだ初代土鍋に愛着のあった私は、


「何でこんな変な土鍋注文したの?」


と嫁に聞いてみると、このまんまるい構造でお米が中で対流するから美味しく炊けるとのこと。


いやいや、対流のことは分かりませんが、そんなに最初から上手く炊けるわけがない、土鍋というのはちゃんと育てないと美味しいお米は炊けないと私は信じている・・・、色々グズグズ言ったところで、もう買ってしまったものはしょうがありません。


とりあえず新しい土鍋でご飯を炊いてみました。




炊き上がったご飯をお茶碗に盛り付けると、驚いたことに最初から土鍋にご飯がくっつきません。


まるまっている分、口が狭くて内側に反り返っているので、少々しゃもじでご飯をすくうのは難しいですが、お米も立っていて美味しそうです。


ん〜、なんか複雑な心境ですね・・・。


実際食べてみると、今までの土鍋で炊いたよりもふっくらしてツルツルしているというか、お米でこういうことも変ですが、喉越しがいいです。


私が最初に土鍋を買った時よりも進化しているのかもしれません。




その後、最初の土鍋は、庭の片隅で小さい池として余生を過ごしています。


時々野鳩が水浴びに来たり、カエルが遊びに来たり、なかなかにぎやかに第二の人生を楽しんでいるようです。






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風々工房(ぷぷこうぼう) 東京出身のププ(嫁)、山形出身の旦那夫婦でインスタ漫画を描いています。 借金のあったププ母の介護、非正規雇用など色々乗り越えて、2018年に秦野市に移住しました。 社会の歯車から離れて、はたして生きていけるのか実験中です(笑)。 もしよろしければ、これまでのストーリーのインスタ漫画もご覧ください。