現役で飲食店で働いている方、健全に経営されている飲食店オーナーの方もいらっしゃると思いますが、あくまで私たちが直接経験した主観なのでご容赦ください。



世の中何事も経験と言いますが、やってみないと分からないことってあると思います。


飲食店のデリバリーも利用するのは便利ですが、仕事としては非常に過酷で、経験される方も少ないだろうし、「こういう世界もあるんだな」と何かの参考になれば嬉しいです。


「凸凹夫婦」に詳しいですが、私たち夫婦は某飲食店フランチャイズの職場で出会いました。


「凸凹夫婦」では私の外国人観光客向けの活躍を書きましたが、実は後日談がありまして、キュウリ店長の逆鱗に触れた私は、苦手だったデリバリー部隊に移動させられました。


方向音痴だし地図も読めないので、最初にデリに行った六本木は道に迷うしガス欠になるし、港区はガソリンスタンドが少ないので、重い3輪の原付を冬の寒い中、ウンウン唸りながら坂道を数キロ押して帰り、「帰りが遅い!」と怒られ、その日の残業代は出なかったものです。




当時私たちが働いていたフランチャイズは東京の港区、渋谷区に店舗があり、デリバリーの配達エリアは港区、渋谷区、千代田区、中央区、品川区でした。


NHK、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、テレビ東京、更には本来エリアではないお台場のフジテレビも駄々を捏ねられ配達したので、全てのテレビ局、桜田門の警視庁の記者クラブ、麻布警察署、渋谷警察署、普通に生活していると入れない色々なところに配達に行ったものです。


デリバリーには掻き入れ時というのがありまして、悪天候で外に食事に行けない時が一番混み合います。


台風で大雨の中、木の枝や看板が飛んでくる中でも、雪が降っても、そういう時こそオーダーがたくさん入るので中止になることはありません。



本来食べ物を運ぶのに適さないくらいヨレヨレで排気ガスで黒く汚れたカッパを着て原付にまたがり、それはもう命がけで届けても、「お釣りが濡れてる!」とクレームを言われるのもいつものことで、原付に乗りながら、


「こんな命がけで、一体何やってるんだろう・・・」


と、よく考えたものです。


地図の読めない私は、iPhone4のグーグルマップを見ながらなんとか配達していたのですが、安全なわけはありません。


雨に濡れて水没しては乾かし、なんとか復活すると、また検索して次のデリバリーに向かうという毎日でした。


地図を見ると、3件積みでも5件積みでも配達場所を暗記できる嫁は同じ人間とは思えませんでした(笑)。


法定時速が30キロしかない原付で配達に行くので、違反切符を切られるのは日常でしたし、事故も多かったです。




東京都心部のタクシーは無茶な運転をするので、私も嫁もタクシーがらみの事故によく遭いました。


あれはタクシーを待ってる人も待ってる人で、どうしてそんなところでタクシーをとめるの?というところでタクシー待ちをして、タクシーはなんの脈略もなく突然急停止します。


私もイチョウの葉っぱで滑って、タクシーを避けざまに転倒しました。


そのくらいの事故は日常だったので、少々痛かろうがそのまま店に戻り、次の配達に行くというのが日常でしたし、万が一怪我で仕事を休むことになっても、会社からは何の補償もなく、何しろ「労災」というワード自体が禁句でした。


どんなに無理な配達のスケジュールを組まれても全て自己責任で、違反で切符を切られても自腹、駐禁を切られても自腹、それが普通の職場でした。



最近、芸人さんの闇営業が問題になってるようですが、お客さんを選べないサービス業も色々なことがあります。


一人で届けに行くデリバリーは、無防備で危ないこともあるし、女性は男性に比べて危険が伴う事もありました。


とくに渋谷区に多かったのですが、性的な玩具を売っているような店からもオーダーは入り、届けに行くと、


「どうして女性が届けに来るの?」


と言われる事もありますし、どう見てもオ○オ○詐欺集団にしか見えない会社というか、組織に届けに行く事もあります。


これはもう、電話やFAXでオーダーをとった段階では分かりません。


一般のお客さんでも電話口では高圧的なお客さんもいるので、オーダーをとった時に気付かず、届けに行ったらそういう場所だったと言うことはたくさんありました。


雑居ビルのワンフロア、セキュリティーの厳重な商業ビル、色々ありましたが、届けに行くと電話だけが数十台並んでいて、ホワイトボードには何やら目標が書いてあり、刺青のいかつい若者が何十人もいたりします。


そういうお客さんは一度に何十個もオーダーをくれる太いお客さんが多いもので、数十人を一人一人個別に会計し、みんな1万円札だと用意したお釣りが足りなくなってトラブルになる事もあります。


そう言う時は、もう何度も何度も頭を下げて会計をまとめてくれるようお願いするしかありませんでした。




危ない配達先は色々あって、どう見ても普通ではない不動産屋さんもありましたし、そう言う方々は特別扱いが好きと言うか、福神漬けは別容器に入れて4つ付けて欲しいとか、色々特殊な注文の仕方をします。


福神漬けを4つ持っていくと「5つと言ったろう!」と、そもそもサービスで付けているのにトラブルになり、「全部無料にしろ!」と言われる事もあるし、そこで交渉して時間を取られると、次の普通のお客さんのところに届けるのが遅くなって、クレームになってしまう・・・。


辛いところです。


嫁はその職場で1日も有給を取る事もなく、時給据え置きで10年間働いたわけですからね・・・。


しかも20代の、普通だったら一番ウキウキワクワクする年代を全てその職場に捧げたことを考えると、ここまで書いて色々な感情が湧いてきます・・・。


嫁が言うには、慣れというのは不思議なもので、毎日繰り返していると「異常」なことでも「普通」に思えてしまい、むしろ出来るのが当たり前、それを通り越すと出来る自分が凄いと思い込んで、まわりの人間に対して優越感というか、武勇伝的感覚に陥っていったそうです。


それを洗脳というのでしょうか・・・。


その嫁も、ようやくゴールド免許です。


あの頃の最後の後遺症というか残り香がなくなり、ようやく過去にすることができたような気がして感慨深いです。


関連記事「凸凹夫婦①」








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ABOUTこの記事をかいた人

風々工房(ぷぷこうぼう) 東京出身のププ(嫁)、山形出身の旦那夫婦でインスタ漫画を描いています。 借金のあったププ母の介護、非正規雇用など色々乗り越えて、2018年に秦野市に移住しました。 社会の歯車から離れて、はたして生きていけるのか実験中です(笑)。 もしよろしければ、これまでのストーリーのインスタ漫画もご覧ください。