山形の芋煮_サムネ

山形人の山形人による山形の芋煮

山形の名産と言えばサクランボですが、郷土料理と言えば真っ先に思い浮かぶのが芋煮ではないでしょうか。


私たち山形人は幼稚園の頃から、行事の一環として芋煮の英才教育を受け、私が初めて包丁を握ったのも幼稚園の芋煮会でした。


小学校、中学校の行事、地域、友人の集まり、家族、親戚等々、隙あらば秋になると河原に集まって芋煮会をします。


山形の芋煮会を簡単に紹介すると、河原に集まって里芋、牛肉を醤油で煮込んだ芋煮を食べながらお酒を飲む行事というか、風習です。


同じ山形県内でも豚肉を使ったり、味付けがお味噌の地域もあるようですが、山形市では牛肉とお醤油を使うのが特徴です。



芋煮会で使う大鍋は、何回も使えるよう分厚くしっかり作られていて、芋煮会以外では使い回しの効かない鍋ですが、山形では芋煮会のシーズンになると芋煮の食材を売っているスーパーで無料で貸してくれるし、一緒に薪も売っています。


どうしたら芋煮会がやりやすいか、どうしたら芋煮会が盛り上がるか、官民合わせてサポートしてくれる様は、山形人の芋煮会への情熱を感じます(笑)。


芋煮会の正しい作法は、河原の石を積んで即席のかまどを作り、薪を組んで火つけをするところから始まり、借りてきた鍋を綺麗に洗って返して終わります。


芋煮会で使った鍋底は、吹きこぼれた汁や焚き火の煤で真っ黒になっていますが、川の水で綺麗に洗うのはもっぱら私たち子供の仕事でした。


子供ながらに、煤で真っ黒になりながら一生懸命クレンザーで鍋を擦っていると、大人に「馬見ヶ崎が汚れる!」と怒られ、河原の砂でゴシゴシ洗ったものです。


ちなみに馬見ヶ崎は山形市民がこよなく愛する、山形市内を流れる清流です。


上流に新山釣堀があり、梅雨の時期は釣り堀から逃げてきたニジマスを採って食べるのが、私たち山形の子供の楽しみでした。




神奈川県秦野市の里芋

里芋畑
里芋畑



私たちが現在住んでいる秦野市、引越しするまで知りませんでしたが、里芋が美味しいんです。


秦野市の土質は典型的な火山灰で非常に水はけがよく、雨が降って水たまりが出来てもすぐなくなります。


この辺が秦野市の水道水の70%が地下水で、水が美味しい理由ではないかと思ったりしています。


さて、この土質、おそらく水田のような水耕栽培には向かないものの、里芋の栽培には向いているのではないかと推測しています。


山形では日常的に里芋を食べるので、スーパーでは最初から皮を剥いて水を入れた袋で売っているので、ごまかしがききません。


というのも、東京では「美味しそうだなー」と泥付きの里芋を買って自分で皮を剥くと、驚くほど「ス」が入っていたり、黒く痛んでいたりして、せっかく皮を剥いても食べられるところが驚くほど少なく、せっかく楽しみに里芋を購入しても、がっかりすることがよくありました。



秦野市の里芋は違いますねー。


ずっしり重いし、皮を剥くとほれぼれするくらい中が真っ白で実がぎっしり。


粘り気が山形の里芋に比べてやや控えめですが、その分煮込んでも煮くずれ難く、ほっこりして美味しいです。


路地販売の里芋が安くて美味しいこともあり、こちらに引っ越してからはすっかり芋煮の登場回数が増えた私達ですが、山形人の山形人による本物の芋煮のレシピを紹介します!


とはいうものの、もしかしたら私が山形にいた時代と違っているかもしれませんし、地域でも違うかもしれません。


あくまで私個人が幼稚園の頃から叩き込まれたレシピですので、山形の方、どうかこの記事をご覧になっても怒らないでください(笑)。




山形の芋煮の材料と3つのポイント

だいたい3リットルくらいの鍋で作る場合の材料
だいたい3リットルくらいの鍋で作る場合の材料



材料

  • 里芋
  • 長ネギ
  • こんにゃく
  • 牛バラ肉
  • 牛脂(あれば)


調味料

  • 醤油
  • 砂糖
  • 日本酒




先に3つだけポイントを言うと、

  • 入れる水分は水とお酒が半々くらい
    まず、日本酒ですが、何しろたくさん使います。
    調理酒ではなく普通に飲める純米酒がお勧めです。

  • こんにゃくは手でちぎってよく空炒りする
    こんにゃくは手でちぎって空炒りすると味がよく沁みます。

  • ネギは焦げ目をつけて食べる直前に入れる
    ネギは焦げ目をつけたほうが香りがいいです。
    ただ、最初に入れると溶けちゃうので一番最後に入れます。


ポイントというと、このくらいでしょうか。


それでは一番の難関、里芋の皮を剥いていきます。





一番の難関?|里芋の皮剥き



乾燥に弱い里芋は、基本的に泥付きで売っているので、ヌルヌルするし皮剥きが面倒で敬遠されている方も多いのではないでしょうか。


何が厄介と言って、里芋全体に生えているヒゲなのですが、最初の段階で手でヒゲをむしれるだけむしって、あとは亀の子タワシでゴシゴシとヒゲがなくなるまで洗ってしまえば、多少ヌルヌルするとは言え、それほど皮剥きは大変ではありません。


ただ、全体に粘り気があって皮がひっつくので、流水(寒い時はお湯でも可)を流しながら皮をむくと楽です。


秦野の里芋は惚れ惚れするくらい白くてキレイです。


皮をむき終わったら色が変わりやすいので、すぐに水につけて待機させておきます。




山形の芋煮のレシピ



空炒りはじめはこんにゃくから水分が出ますが、水分は捨ててしまって構いません。


程よく水分が抜けるまで空炒りします。


お肉は焦げ目をつけるのが目的なので、中まで火が通るかどうかは気にせずに動かさないのがコツです。


お肉を動かし過ぎると水分が出てしまうので要注意です。


下の方のお肉に焦げ目がついたらひっくり返していく感覚です。


スーパーでもらってきた牛脂を使うと、味に一貫性が出るしコクも出るのでおすすめです。




牛肉に焦げ目が付いたら先ほど皮を剥いた里芋と乾煎りしたコンニャクを入れ、お酒1:水1の割合でヒタヒタにして煮込んでいきます。


煮込んでいる間にネギに焦げ目をつけ、里芋に箸が通ったら調味料を入れていきます。


調味料はお醤油と砂糖だけで、山形の芋煮はお汁も飲むので、飲める濃さで甘辛く味付けしていきます。




3リットルの鍋だとお醤油はお玉2杯〜3杯くらいでしょうか、砂糖は大さじ3杯から4杯くらいです。


イメージ的に飲めるスキヤキのタレといった感じでしょうか。


味付けは最初に濃いめにしてしまうと取り返しがつかないので、最初は薄めに入れ、里芋に色がついて盛り付ける直前に味を整えるのがお勧めです。




馬見ヶ崎で食べないと雰囲気が出なくて残念ですが・・・。


山形人のソールフードの芋煮は、体もあったまるし、里芋とこんにゃくを大量に使うのでお通じにもいいです(笑)。


もし宜しければ、ぜひお試しください!


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