秋鮭の季節
秋鮭のシーズンです!
普段は海外産の鮭に押されて、すっかり珍しくなった国産の鮭は、手頃な価格で購入しようと思ったら、本当に今の時期しかないのではないでしょうか。
海にいる時はいつか川を遡上する時のため、体にたっぷりと栄養、脂を溜め込み、食べると非常にジューシーで、鮭と呼ぶよりサーモンと言ったほうがしっくりくる感じですが、産卵のために命がけで川を遡上してきた鮭は、それまでの旅ですっかり脂を使い切り、海にいた頃の鮭とは別物というか、脂が少なく昔ながらの塩っ辛い塩鮭で食べるようなイメージです。
さて、食べるとジューシーなサーモンですが、水分(脂分)が多くて身が柔らかいので、荒巻鮭や今回作る鮭とばのような保存食加工には向きません。
塩漬けにして乾燥させるとしたら、やっぱりこの時期にしか手に入らない日本の秋鮭です。
実は私、セブンイレブンの鮭とばは食べたことがあるのですが、本物のゴリっとした鮭とばを食べたことがありませんでした。
ある日、旦那がゴリっとした鮭とばを買ってきたのですが、かじってみると硬いし皮がついてて噛みきれないし、どうしてこんなものを喜んで食べるんだろうと思っていたら、旦那に、
「食べ方が間違っている」
と言われ、皮を剥いで炙って食べると美味しいとのこと。
そんなに簡単に剥がれるのかなと試してみると、面白いようにベリベリと皮が剥がれ、炙ると身も気持ちやわらかくなって美味しいし、皮は皮で炙るとチリチリと丸まり、パリパリと香ばしい。
塩鮭にご飯は最高の組み合わせですが、同じくお米から作った日本酒ともよく合います。
寒い日にチリチリと鮭とばを焼きながらの熱燗は至福の時です(笑)。
ちゃんとした鮭とばは買うと高いので、いつかは作ってみたかったのですが、先日スーパーで秋鮭が並んでいたので、いよいよ作ってみることにしました。
購入したのは半身が二つ、ちょうど鮭一匹分です。
鮭とば作り①|塩漬けにして冷蔵庫で1週間寝かせる
初めての鮭とば、基本的に我が家の手抜きベーコンと同じ要領で作ってみます。
購入してきた半身の表面を手でなぞってみると、所々チクッとするところがあり、よくよく見てみると大骨は取り除いてあるものの、取りきれなかった小骨が身の中に残っていたので、まず毛抜きで小骨を取り除きました。
購入したばかりの鮭の身はまだ水分が豊富で脆く、小骨を毛抜きで引っ張ると身ごと付いてきてしまったり、指でギュッと抑えて引っ張ると身が割れてしまったりと、一番気を使う作業でした。
小骨を抜いたら塩漬けにして1週間冷蔵庫で寝かせるだけなのですが、色々調べてみると鮭の重量の4%の塩分に漬け込んで、後々塩抜きしてから干す等、色々やり方があるようですが、塩抜きが面倒なので、そのままでも食べられる塩の量を使いました。
イメージ的には塩鮭というか、魚を焼く時に振る塩の感じです。
裏表満遍なく塩を振ったら手で擦り込むように全体に塩を馴染ませ、クッキングペーパーで包み、冷蔵庫の中で1週間乾燥させました。
ここまでの過程で私たちが気づいた一般家庭で魚を加工する難しさは「匂い」でしょうか。
新鮮な鮭とは言え、生臭い匂いは否めず、部屋中が鮭の匂いになるし、冷蔵庫に入れてある1週間はやっぱり冷蔵庫の中は生臭いです。
決して食欲をそそる匂いではないので、ここが一番ハードルが高かったです。
1週間経ってクッキングペーパーから出すと、もうこの段階で身が引き締まって手で持ちやすくなっていました。
クッキングペーパーが鮭と一体化して鮭にくっついてしまった時は水洗いすると落ちます。
水分が抜けた分、匂いも凝縮されて強くなっていましたが、そこを我慢して燻製してみます。
鮭とば作り②|燻製して干す
普段ベーコンを作る時は、燻製の香りをつけながら豚肉に火を通しますが、鮭とばの場合は香り付けをするだけで火を通すのが目的ではありません。
あらかじめチップを用意しておき、中火〜強火くらいで、ちょうど鮭を乗せる時に煙が出る状態にしておきます。
チップのレシピとしては、
- 桜のチップ 適量
- 照りを出すための砂糖 小さじ1
- 香り付けのローリエ 1枚
です。
鮭とばの醍醐味は、何と言っても皮の部分なのですが、この皮ごと包丁で切ろうとすると切りにくかったので、調理バサミで切りました。
鮭の半身を三等分に切って、あとは縦に細切りに、燻製鍋に入る大きさにチョキチョキ切っていきます。
調理バサミだと何の抵抗もなくサクサク切れるので、オススメです。
鮭を燻製の網というか、台に載せていき、いっぱいになったら煙が出ている燻製鍋に入れて蓋をし、火を止めて2分間燻製にします。
一度に燻製の台に乗せきれなかったので、3回に分けて燻製にしました。
火を止めても余熱で鮭の表面が白くなるというか、多少火が入ったように見えますが大丈夫です。
燻製をして初めて食べ物らしい香りがしてきたというか、生臭い匂いが消えて美味しそうな香りがしてきたので、鮭とばを作る時、生臭いのが苦手という方は、一旦軽く燻製してみるのはいいかもしれません。
燻製が終わったら、干し網に入れて外に干します。
干して3日後|鮭とば完成!

干し始めてから幸か不幸か、もう10月だというのに毎日最高気温が30度近い日が続き、軽く燻製しているとは言え、通常の鮭とばに比べて塩分控えめだし、腐らないかな、大丈夫かなと心配していましたが、逆に天気が良かったおかげか、いい感じに水分が抜けてカチカチになり、飴色になって美味しそうになりました。
水分が抜けて縮んだ分、中の脂が表面に染み出して、照りまで出ています。
燻製した時、表面が白っぽくなって火を通しすぎてしまったかと心配していましたが、ちゃんと表面が飴色で鮭とばになっています。
果たしてどこまで干し続けて良いのか分からないのですが、ちょっと味見してみることにしました。
形の良さそうなのを4本選び、皮を剥いてみると、ペリペリと気持ちよく剥がれます。
指先についた匂いを嗅いでみると、全く生臭さはなく、ほんのり燻製の香りと、私の知っている鮭とばの香りがします。
隣のコンロで熱燗を湯煎しながら、網でチリチリと焼くと、身からジュワーッと脂が染み出し、落ちた脂から煙が上がり、何とも香ばしい香りです。
皮もチューンと縮んで脂が滲み出てきました。
熱いうちにカボスをキュッと絞って頂きます。
先っちょの方を齧ってみると、少ししか齧ってないのに口の中ですごい存在感です。
塩分はむしろ控え目な感じなのですが、鮭の味が濃厚なので、ムシャムシャ食べるよりも、チビチビ齧るだけで十分食べ応えがあります。
噛みごたえがあるので、いつまでも噛んでられるのですが、いくら噛んでも鮭の旨味が途切れません。
ここで熱燗を一口・・・、あー、効きますねー。
まだ暖かいというか、日中は暑いくらいなので全然熱燗の季節ではないのですが、鮭とばとよく合います。
皮を齧ってみると、パリパリ、サクサクとスナックのようです。
これは美味しいですね。
このままでは冬が来る前になくなりそうなので、秋鮭があるうちに、あと2回くらい鮭とばを作ってみようと思います。
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