S.Yairi YD-308 vs YAMAKI-1200|ミリ単位で変わる_サムネ

S.Yairi YD-308 vs YAMAKI-1200|ミリ単位で変わる


秋になり、空気も乾燥してきて木が動く時期になりました。


木工製品のアコギも例外ではなく、ミリ単位、ひどいと数センチ単位で動きます。


木が縮んでしまったのか、308のバックシームにも隙間が空いてしまいました・・・。


本当はもっとひどくなる前に修理に出したほうがいいのですが、予算の都合で出来ないのが残念です。


70年代に作られた丈夫な日本のアコギでも、単板だと不具合が起こるものです。


サイド、バックは合板くらいのほうが気にしないで使えるので、取り扱いが楽かもしれません。


アコギは本来、湿度40%〜50%の間くらいが一番適した環境と言われていますが、アコギ専用の部屋を作って24時間365日、湿度と温度の管理を出来るのは一部のお金持ちだけで、そういうちゃんと管理出来る方こそ数百万もするヴィンテージギターを持つのにふさわしいのでしょう。


私には当然無理なので、日本で作られた古いギターを自分が普通に暮らしているリビングルームで弾いています。




YAMAKI-1200は新しいネックで動きが激しいのか、308に比べて順反りが強く出て、もともと弦のテンションが強めでしたが、更にテンションが上がって弾くのがしんどいです。


何十年も寝かせた木を使っていたとしてもアコギの部材になることで、ある日突然、毎日70キロ〜90キロの力で鉄製の弦に引っ張られるので、ギターの部材として馴染むまでは動きも大きいでしょう。


この時期、308も順反り気味になるのですが、S.Yairi YD-308は12フレット6弦の弦高が3mmに対し、YAMAKI-1200は現在4mmあります。


アコギの弦高で1ミリ変わると、恐らく弦にかかるテンションが数百グラム単位で変わるので、弾き心地が鬼のように変わります。


自分にあったネックの太さを選ぶのも重要で、308はネック幅が43ミリと、エレキギター並みに弾きやすのですが、1200は昭和ヘッドウエイのHF-420のネック幅45ミリが指弾きしやすかったので、弦のテンションを考えないで45ミリで作ってもらいました。


参考にしたHF-420は000(トリプルオー)サイズの小さいギターで弦のテンションも弱かったのですが、大きいドレッドノートサイズで45ミリだと完全に別物というか、たった2ミリの違いのはずなのに、43ミリに慣れてしまった手の小さい私には辛いネック幅です。


音色はガラスの風鈴のように美しい1200ですが、今ならギターが2本くらい作れるんじゃないかと思うほど板の厚みが分厚く、鳴らし切れるように育てるまで相当時間がかかりそうなので、ヘッドウエイHF-420も含めギターを2本処分しました。


2本とも愛着のあるギターでしたが、YAMAKI-1200を弾きこむのに精一杯なので仕方がありません・・・。


現在手元にあるのは308と1200の2本だけです。






ブレーシングから考える現代のアコギの傾向



人生経験もそうですが、アコギの好みもそれまで弾いたことのあるギターによって様々で、何が自分にとっていいか、何が自分にとって正しいか様々です。


「おお、これはすごい・・・」というギターに出会って、自分の音の好みを上書きしていき、その時々の自分の好みが出来上がっていくのですが、人それぞれ経験が違うので、アコギ愛好家の間で会話が噛み合わないこともよくあることです。


そもそも「鳴るギター」と言っても、ステージでマイクで音を拾ったりPAを使う人にとって生音が大きいギターは、ハウリングを起こしやすいから嫌われるかもしれないし、逆に生音が小さくてもマイク乗りのいいギターが好まれるかもしれません。


私のように、たまにアコギ好きが集まって生ギターでセッションする時に、他の人の音に埋もれない大きな音のするギターが「鳴るギター」と思っている人もいるでしょう。


ノンスキャロップ、スキャロップの議論もよくあることなのですが、難しいところです。


一般的にノンスキャロップのギターは丈夫で故障が少ない代わりに最初は鳴らず、何年か引き込むことで真価を発揮して、ズシンと芯のあるスキャロップにはない魅力があると言われ、一方、スキャロップは華奢だけど軽いタッチでも最初から音がちゃんと出るが、ノンスキャロップほど芯のある音に育たない・・・。


私はノンスキャロップのガッツのある音が好きで、308も1200もノンスキャロップですが、10年間弾き込んだ308と新品状態の1200の音の差は歴然で、果たして今の自分の体力で1200をそこまで弾き込めるか、ギターの本数を減らすくらい心配です。


そんなわけで、最近はスキャロップが主流で、私の好きなノンスキャロップは人気がありません。


それもそうですよね、ギターをこれから始める方が楽器屋さんに行って、


「このギターはノンスキャロップでいいギターだよ!一生懸命弾くと10年後くらいに超いい音に育つよ!」


と、店員さんにそんなことを言われても、10年後もギターを弾いているか分からないし、今いい音のするギターが欲しいわけだから、本当に育つか分からないノンスキャロップよりも、最初から鳴るスキャロップを選んじゃいますよね。


私のように、鳴るようになるか分からないギターにお金をかけて改造するなんて、一般の人には理解も出来ないし、正気の沙汰ではないのかもしれません・・・。






YAMAKI-1200を2ヶ月弾いてみて

レストアしてラッカー塗装したばかりの1200、308と同じ弦を張っているのに「コーティング弦か?」と思うくらい、間にワタの入ったような音がしていましたが、乾燥して塗装も引いてきたのか、だいぶ音がきりっとしまってきました。


弦高がやや高かったり、ネックが太かったりして弾きにくいことは弾きにくいですが、私も慣れてきたし、ギターも私の弾き方に少しづつ慣れてきたような気がします。


むしろ1200で鍛えられて、308が自由に弾けるようになってきました(笑)。


ピックで弾く場合も指で弾く場合も、音がちゃんと出る「スイートポイント」があるのですが、新品状態の1200はスイートポイントが狭く、強く正確に弾いてあげないとちゃんと音が出てくれないので、ピッキングには気を使います。


ティアドロップのミディアムのピックを愛用しているのですが、1200を弾きこなすためにピックをヘビーに変えるべきか悩んでいます。


同じハカランダを使ったアコギでも、308と1200は好対照で、1200もちゃんと音が前に出ているのかもしれませんが、異様に音が前に出る308に比べるとまだまだ物足りないし、308も倍音成分はあるのですが、異様に倍音の出る1200に比べると308の倍音は無いに等しいです。


マーチンD-45を筆頭に、高価なギターは倍音が強いものなのかなと想像してきましたが、実際に倍音が強いギターを弾いていると扱いづらいです。


だいぶ慣れてはきましたが、他の例えばD-45を弾いてらっしゃる方は、どんな音楽をどんな風に弾いてらっしゃるのでしょうか・・・。


いつかギターを持ち寄って、ギターを弾き比べられるオフ会なんて出来たら素敵かもしれませんね。







2件のコメント

いやー、いつも読み応えありますね‼️
私にとっては、
憧れのSYairiとノスタルジーのヤマキ。

ますます今後が楽しみです‼️

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