玉ねぎを諦めて野生のネギを植えてみる_サムネ

玉ねぎを諦めて野生のネギを植えてみる

もう2年前のことです・・・、よく行く路地販売のおばあちゃんから小玉ねぎを頂きました。


「このまま食べても美味しいけど、植えると大きくなるよー」


とのことでした。


それまで玉ねぎのことをあまり深く考えたことはなかったのですが、同じ玉ねぎでも収穫する時期で用途が変わってきて、

  • 早生 収穫は3月〜4月で水分が多いのでサラダ向きだけど貯蔵には向かない
  • 晩生 収穫は6月以降で一般に流通しているのが晩生、水分が少ないので炒め物や煮物等の調理に向く

収穫時期で玉ねぎに含まれる水分量がが変わり、調理や貯蔵の向き不向きが変わってくるとのこと、ちょうど早生と晩生の中間の中生というのもあるそうです。


とは言え、植え付ける時期は同じ10~11月で、


「ちょうど今の時期だから植えてみたらー?」


と教えて頂いたので、早速家に帰って植えることにしました。


翌年6月、葉っぱが倒れてきた頃が収穫の時期です
翌年6月、葉っぱが倒れてきた頃が収穫の時期です



通常玉ねぎは、こういう小玉ねぎ状態から植えることはないそうですが、もし植えるなら、余っている茶色い薄皮をむいて、チュンと尖った先っちょを地面から出して植えるのが大きくするコツとのこと。


私の勝手なイメージでは、例えば長ネギの根元の部分を切って水に浸けておくと、またネギが生えてくるくらい生命力が強い野菜だと思っていたので、1年後には相当大きくなってくれるかもと期待して、畑全体に満遍なく植えてみました。


その後順調に地面の上の葉っぱの部分も伸びて年を越し、いよいよ6月、いい感じに上の葉っぱが倒れてきたので収穫してみると、ほとんど大きくなっていないような気がします。


念のため、植えた時に撮った写真と比較してみると、縦方向に多少ひょろ長く成長したように見えますが、横方向にはほとんど変化がないようです。




せっかく頂いた小玉ねぎ、もしかしたら病気にかかったんじゃないかと、心配して色々調べてみると、ネギの仲間でも玉ねぎは何度も追肥しなければいけないほど肥料を必要とする作物で、私たちのような無肥料の自然栽培の場合、時間をかけて自然の力で土を肥やしていき、最後に辿り着くのが玉ねぎとのこと。


玉ねぎを育て上げることの出来る土壌を作ることが出来れば、どんな作物でも育てられるようになるそうです。


まさかスーパーで一袋298円で売っている玉ねぎが、こんなに難しいとは知りませんでした・・・。


とは言え、少しは大きくなったので、このまま何度も植え続ければいつか大きい玉ねぎになるかもしれないと、秋にもう一度同じ玉ねぎを植え直してみました。


翌年、もしかしたら前回は掘り起こした時期が早かったかもしれないと、上の葉っぱが枯れた7月に収穫というか抜いてみると、ん〜、気持ち大きくなったような気がしないでもないですが、写真を見比べると、ほとんど成長してないようです。




やはり何回植え直しても、私たちの地力では玉ねぎを育てられないようです・・・。


「玉ねぎは1個植えても収穫できて1個だし、この間路地販売で一袋100円で売ってたし、もういいや」


と、自分に言い訳して我が家では玉ねぎを当分諦めることにしましたが、気持ちのどこかで心残りというか、玉ねぎに負けてしまったコンプレックスを感じていました。


そんな玉ねぎが頭の片隅に残っていたのでしょうか、ある日いつもの山を散歩しているとネギの香りがしてきます。


こんな畑もない山の中で、そんなはずはないと辺りを見渡して匂いを追いかけると、太陽が当たらないような木陰にワケギのような植物が群生していました!


指でパキッと折って匂いを嗅いでみると明らかにネギの香りがします。


これはもしかしたら本で見たことのある、ネギの原種、野生のネギかもしれません!




野生のネギならもしかしたら我が家でも育てられるかもしれないと、一房根っこごと掘り出し、もともと生えていた環境に一番近そうな、庭の隅の一番陽の当たらない場所に植えてみました。


もしこのまま定着してくれたら、納豆の薬味にもなるし、お味噌汁、冷奴等々、夢が広がります(笑)。


ネギの仲間は「畑のお医者さん」と言われるくらい防虫効果があったり、根に住む微生物が抗生物質を分泌して連作障害や作物の病気を予防してくれるそうなので、我が家の畑のためにも何とか定着してくれるとありがたいです。