手作りマルセイユ石けん_サムネ

手作りマルセイユ石鹸

※注

石鹸作りには苛性ソーダを使います。

苛性ソーダは強アルカリの劇物指定の薬品で、薬局の窓口でも通販でも、購入する際は「譲受書」という書類の記入、印鑑、身分証の提示が必要です。

苛性ソーダは「強アルカリ」なので肌につくと火傷したり、目に入ると失明する恐れがあるくらい強い薬品なので、体に直接触れないよう細心の注意が必要です。

水と反応すると発熱し、強い塩素臭のような有毒ガスも発生します。

保管の際も、特に小さなお子様のいらっしゃる場合は、保管場所に十分お気をつけ下さい。





私は元々アトピー持ちのアレルギー体質だったので、昔から化粧水やシャンプー、リンス、ボディーソープ等々、色々買っては試しを繰り返していました。


皮膚は毎日かゆい、鼻は詰まる、首の後ろに大きな吹き出物ができる・・・、病院にも通いましたが、処方されたステロイド軟膏を塗っても一時的にしか良くならず、塗り続けないとまた症状が復活してしまう・・・。


とにかく、その状態から解放されたい一心で本屋さんに行っては色々な健康本を研究していました。


どうやら、市販のシャンプー、リンス、ボディーソープ等に入っている「合成界面活性剤」が肌への刺激が強く、場合によっては汚れを落としすぎて、肌を守ってくれる角質層や皮脂膜まで落としてしまうそうで、私のアトピーの原因の一つのようでした。


その後、ディープな石けんの世界に足を踏み入れ、「コールドプロセス石けん」にたどり着きました。


通常の石けんは、短時間で高温で炊き上げてグリセリン(保湿成分)を分離させ、泡立もよく、大量生産も可能です。


一方、コールドプロセス石けんは、オイルが酸化しない38度〜40度でグリセリンを分離させずにゆっくり作るので、オイルの保湿成分がそのまま残っているかわりに時間をかけて乾燥させるので、大量生産には向きません。


石けんの泡立ちは、保湿成分のグリセリンを取り除くか、活用するかで変わってくるようで、グリセリンを取り除くと泡立ちがよくなり、残すと泡立ちが控えめになるようです。




初めてコールドプロセス石けんを使った時に、洗い上がりのしっとり感に衝撃を受け、それ以来、市販のシャンプー、リンス、ボディーソープは一切買わなくなり、今では石けん1個で髪の毛も体も洗っています。


ただ、せっかく辿り着いたコールドプロセス石けんにも弱点がありまして、

  • 溶けるのが早い
    減るのが早いし、濡れたまま置いておくだけでトロトロ溶けていきます。
    長持ちさせるには、使った後はなるべく水気を切って乾いた所に置いておく必要があります。

  • 泡立ちが悪い
    グリセリンと分離させた市販の石けんに比べて泡立ちが控えめです。
    私は逆に「しっとりしていいなー」と気に入って使ってますが、旦那は物足りないらしく、今でもダブのボディーソープを使っています。

  • 値段が高い
    大量生産できず、手作りの場合が多いので、私が買っていたものだと、だいたい1個(100g)で、800円〜1000円くらいしました。


アトピーだったりアトピーじゃなかったり、使う使わないは人それぞれ好みがありますが、高価なのは如何ともし難く、ある日旦那に、


「そんなに高いの買うなら、自分で作っちゃえば?」


と言われ、私の石けん作りは始まりました・・・。






マルセイユ石鹸

マルセイユ石鹸は、フランスのマルセイユでオリーブオイルから石けんを作り始めたのが発祥ですが、19世紀にオリーブが不作で、「72%のオイルをオリーブオイルとする」と変わり、残りの28%をココナッツオイルとパームオイルに置き換えたのが現在のマルセイユ石鹸のようです。


パームオイルとココナッツオイルを使うのには理由があって、ココナッツオイルは泡立ちがよくなり、パームオイルは溶けくずれを抑える効果があるそうです。


私が初めて牛乳パックで作った石けんも、元祖マルセイユ石けんのオリーブオイル石けんと、3つのオイルを混ぜた現在のマルセイユ石けんの2種類でした。


実際にそれぞれの石けんを使ってみると、オリーブオイルだけの石けんは泡立ちも控えめで、手に持った感じも柔らかく溶けやすかったのに比べ、3つのオイルを混ぜたマルセイユ石けんは、泡立ちは市販の石鹸に負けてしまうものの、オリーブオイルだけの石鹸よりも泡立ちもよく、固めな感じで、その分長持ちします。


干す時間もマルセイユ石けんの方がオリーブオイ石鹸よりもやや短めです。






手作りマルセイユ石けんの手間、材料、コスト



スーパーで販売しているオリーブオイルは、なぜか生食に適したエキストラバージンオイルが主流ですが、石けん作りには加熱調理用のピュアオリーブオイルや、一番安くて固まりやすいポマスオリーブオイルがおすすめです。


スーパー等では、ポマスオリーブオイルの取り扱いがないので、ココナッツオイル、パームオイルとまとめて「カフェドサボン」さんから通販で購入しました。


念のためリンクを貼っておきます。


ポマス オリーブオイル
精製 ココナッツオイル 500ml
カロチーノプレミアム レッドパームオイル 500g



各材料の分量は、今回もこちらの本を参考にさせて頂きました。




私たちが購入した時は、ポマスオリーブオイルが1Lで990円、レッドパームオイルが500gで957円、ココナッツオイルが500mlで586円でした。(全て税込)


苛性ソーダは、先日の廃油石けんで使い切ってしまったので、隣駅の薬局まで買いに行き、500gで525円(税込)でした。


マルセイユ石鹸1本(約950g)の材料とコストをまとめてみました。

材料使用量使用量から割り出した
単価
ポマスオリーブオイル458g(500cc)495円
ココナッツオイル112g(120cc)132円
パームオイル64g(70cc)123円
苛性ソーダ83g87円
合計837円


今回初めてコストを計算してみたのですが、1本当たり837円で作れるとは、お得ですね。


計算してみた私もびっくりです。


自分で石けんを作るのは確かに面倒ですが、その面倒なことを自分でやるか、他の人にやってもらうかで金額が大きく変わってくるもので、今、楽天で調べてみたら安くても1本4,000円〜5,000円、高いと10,000円以上するようです。


いくらお肌にいいとは言え、溶けるのも早いし継続して使っていくには難しい価格かもしれません・・・。


オリーブオイルは、今回のマルセイユ石けんとオリーブオイル石けんをもう1本作って使い切りましたが、ココナッツオイルは4分の3、パームオイルは8分の7ほど残っているので、食用にも石けん作りにもまだまだ使えるくらい残っています。




手間のかかる工程は、まず、何と言っても劇薬の苛性ソーダを使うところと、水分を抜くための乾燥時間が長いところでしょうか。


簡単に工程を簡単にまとめると、

  • 仕込んで型に入れ、1日置く
  • 翌日、容器から出して3日干す
  • 使いやすい大きさに切って4週間干して完成


オイルと苛性ソーダを混ぜ型に入れる仕込みに40分くらい、後は乾燥させるのに4週間〜5週間くらいです。


それでは写真で解説していきます。






苛性ソーダ水を作る



苛性ソーダ83gと水250ccを混ぜ合わせます。


言葉にすると1行で済んでしまうくらい簡単ですが、苛性ソーダは劇薬です。


水に触れると化学反応を起こすので、スプーン等で計って入れる場合は、完全に水気を切った乾いたスプーンを使うのが吉です。


くれぐれも体に直接触れないように気をつけながら、透明になるまでかき混ぜます。


かき混ぜてる間、強い塩素臭のような有毒ガスと90度くらいの熱が発生するので、容器に気をつけて、風通しのよい場所、換気扇の近くで作業した方が安全です。






オイルと苛性ソーダ水の温度を合わせる



ボールにそれぞれのオイルを分量通りに入れていきます。


まずボールを計りに乗せてメモリを「0」にリセットしてオリーブオイルを500g、入れ終わったらそのまま0にリセットし直してココナッツオイルを112g継ぎ足し、同じ要領でパームオイルを64g継ぎ足す感じです。


ココナッツオイル、パームオイルは寒くなってくると固まってくるので、湯煎して液状に戻してあげてからだと使いやすいです。




温度が高い方が化学反応も起こりやすく、苛性ソーダ水とも混ざりやすいのですが、40度を越えるとせっかくのオイルが傷んでしまうので、オイルは40度前後まで湯煎でゆっくり温めて、90度くらいに温度が上がった苛性ソーダ水は、氷水で40度前後まで冷まして、オイルと苛性ソーダ水の温度を40度前後に揃えてから混ぜます。


湯煎に使ったお湯は、この後も使うのでとっておきます。






よくかき混ぜて型に入れる



ここからマヨネーズ状に鹸化するまでひたすらかき混ぜます。


目安としては20分くらいでしょうか・・・。


結構大変です。


温度が下がると鹸化しにくいので、先ほどオイルを温めるのに使ったお湯で湯煎しながらかき混ぜると鹸化しやすく、時間も短縮できます(笑)。


私は何回も作っているので木製の型を買いましたが、初めての方は手作り石けんを気に入るか分からないし、作り続けるかどうかも分からないかもしれません。


手作り石鹸用 木製モールド|気に入って何回も作る場合は、きれいに作れるのでおすすめです。



私も初めはそうでしたが、牛乳パックで作ってもちゃんと作れるので大丈夫です。


一度作って嫌になってしまっても、残ったオイルはもともと食用なので、ちゃんと料理にも使えます(笑)。


しっかりマヨネーズくらいの粘度に鹸化したら、型、あるいは牛乳パックに流し込んで一晩寝かせます。






使いやすい大きさに切って4週間干して完成!



クッキンペーパーをソロソロと剥いていくと、石けんの表面はまだ指紋がつくくらい柔らかいです。


一晩おいた石けんを計ってみると、925gありました。


ここからは、いかに効率的に水分を抜いて乾燥させるかです。


早く切った方が空気に触れる面が増えて乾燥しやすいのですが、一晩おいただけではまだ柔らかすぎてきれいに切れないので、3日くらいそのまま乾燥させて、表面が落ち着いてから使いやすい大きさに切り分けます、


3日後、切ってみるとレッドパームオイルの色が効いているのか、ミモレットみたいで美味しそうです(笑)。


後は満遍なく乾くように、時々様子を見てひっくり返しながら4週間くらい乾かして熟成させれば完成です!




早速使ってみると、ちゃんと泡立つし立派な石けんです。


初めて作った時は本当に感動しました。


手作り石けん、コールドプロセス石けんは、使い心地が市販の石けんと違うので、好みが分かれるかもしれません。


せっかく作っても、「あれ、思ったのと違う・・・」と言うこともあるかもしれないので、初めて作る方は、少々高価ですが、一度コールドプロセス石けんを購入して試してみてからの方が間違いがないかもしれません。


手作り石けんは泡立ち控えめでも洗浄力が割としっかりしているので、お肌の調子や季節によって、塩、重曹と使い分けているので、石けんの減りは割とゆっくりです。


次に作る時はアーモンドオイルや、マカデミアナッツオイル等、色々なオイルで試してみたいです。


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