さて付き合い始めた私たちですが、あれほど職場では輝いていたププさん、「さぞ料理も掃除も得意なんだろうなあ」と思っていました。
ところが目玉焼きも作れませんでした(笑)。
彼女は、なぜか目玉焼きを強火で焼いて焦がしてしまったんですね。
目玉焼きを強火で焼くこと自体理解できないのですが(笑)。
要は職場の調理場でマニュアル通りに調理済みの食材をあっためたり、揚げ物を揚げたり切ったりすることはできるのですが、普通の料理をやったことがなかったようです。
だからと言って目玉焼きも作れない・・・、驚きました。
「林檎ちゃんの曲弾きたいから、ギター教えて」
というので、ギターを教え始めたのですが、さっぱり覚えられません。
ちなみに嫁は今でもギターが弾けません(笑)。
プライベートでは私が師匠なのですが、職場では超先輩と超後輩・・・。
歪んだ関係が始まりました(笑)。
私は旬のものが好きです。
と言っても、こだわってるわけではなく、スーパーに行けばその時期の旬のものが安く手に入るので、値段を見てると自然に旬の食材に辿り着くのですが(笑)。
あと、旬のものを食べたほうが、その時期その時期、体に必要な栄養分を自然に摂れるような気がしますよね。
例えば冬は寒いので脂分の多い食材を食べたくなりますが、春は冬に溜め込んだ余分なカロリーを排毒してくれる苦いものが食べたくなるとか。
結婚前の嫁の主食はコンビニご飯で、義母の影響もあるのか旬の物を食べるという習慣がなかったというか、食べることに関心がありませんでした。
でも、10年も飲食店で毎日11時から23時のシフトで厨房に立っていれば、家に帰って料理するのも嫌だろうし、一日中食べ物に接していれば、食べる事に関心がなくなってしまうのも仕方がないかもしれませんよね・・・。
ある冬の日、行きつけのスーパーに行くと丸々肥えて美味しそうな戻りガツオがありました。
私は料理をしながらチビチビ飲むのが好きなのですが、その日も二人でチビチビやりながら、カツオのタタキを作りました。
よく職場の厨房で鬼の様に揚げ物をきっていたので、嫁に薬味のパプリカを切ってもらうと、直後に指を切ってしまいました。
魚にパプリカを合わせるレシピは、私がイギリスで皿洗いをやってる頃、アイルランド人のシェフから教わったレシピです。(彼のレシピはカツオではなくて、アンコウでしたが)
変な組み合わせだなと思いましたが、確かに合うんです。
最近HNKの「朝イチ」でも、カツオとパプリカが合う話をしていましたが、魚が酸性でパプリカがアルカリ性なので、一緒に食べると両方の臭みが相殺されてよく合うそうです。
カツオに限らず、酸っぱい系の魚とパプリカはよく合うので、もしよろしければ、是非お試しください。
その後お酒を飲む楽しみを覚えた嫁は、飲んだ帰り道に全速で走り出して転んだり、溝に落ちたりという奇行を繰り返す様になりました(笑)。
義母に似て足首の固い嫁は、普段から何もないところでもよく転ぶのですが(笑)。
某フランチャイズに全てを捧げていた嫁のお酒のデビューは遅く、私に出会うまでは梅酒を少し飲む程度で、ビールも飲めませんでした。
梅酒は寒い時に温めて飲んだり、風邪をひいた時にホット梅酒飲んだりすると体が温まってよく寝れたりするのですが、何しろ甘いのでおつまみと相性が悪いと思います。
揚げ物に梅酒、ん〜・・・、やっぱり揚げ物にはビールですし、ちょっと美味しいお刺身に梅酒・・・、いや、やっぱりキリッと冷えた日本酒の方が魚介類にあいますよね。
ちなみに私は山形出身ということもあり、「出羽桜」という日本酒が好きです。フルーティーで香りが良いので、日本酒の苦手な女性にもおすすめです。
まあ、いいのか悪いのか分かりませんが嫁に、
「ビールは口の中で味わって飲むと美味しくないけど、勢いで飲んで喉越しを楽しむんだよ」
「カツオのタタキには日本酒が合うでしょ?お米から作られてるから、ご飯感覚なのかもね」
と、お酒を教えたのは私です(笑)。
この頃の嫁は、義母の影響と飲食店のストレスから、奇抜なファッションの研究に余念がなく、お金遣いも非常に荒れていた時期でした。
結婚前だったので、義母とまだ会ったことのない私は、嫁のお金遣いの荒さが義母譲りだと言うことを、知る由もありませんでした・・・。
私は白髪が多いです。
「一度染めると、染め続けないといけない」ということが面倒臭くて無理な私は、白髪も染めないし、髪型も前髪が目に入らなければ満足な私は、1000円カットに行っていました。
ある日、私が古着屋で見つけた800円の良さげなカーディガンのボタンをチクチク付け替えていると、嫁が意気揚々と、左右互い違いの奇天烈な髪型になって帰ってきました。
何かの罰ゲームかと心配して聞いてみると「アシメントリー」という、嫁の信じるヤングに人気の髪型だそうです。
「これがジェネレーションギャップと言うのだろうか・・・」と、ショックにわなないていると、この変な髪型にするために、わざわざ代官山まで行って25000円も払ってきたとのこと。
25000円と言ったら、当時の我が家の1ヶ月の食費よりも多いくらいです。
自分のスタイルに自信を持っていた嫁は、何を言っても頑固に言うことを聞きませんでしたが、神様っているのでしょうか?ある日嫁に信じられないことが起こりました。
最近は通る機会もないので分かりませんが、当時の新橋は酔客目当ての外国人女性の呼び込みが盛んで、私の目から見て女性の一人歩きは心配で、嫁にも常々「夜の新橋駅は使わないで」と言い含めていました。
ある日、非番だった私は23時にシフトが終わる嫁の帰宅時間に合わせて、チビチビやりながら晩御飯の支度をしていると、嫁が号泣しながら帰ってきました。
「これは穏やかではない!」と、話をきいてみると、男性に間違われて外国人女性に声をかけられたとのこと。
これは女性としてはショックですよね。
せっかく25000円もかけてナウい髪型にしたのに・・・。
私は可哀想やら、可笑しいやら複雑な心境でした。
私は個性というものは、出そうと思って出るものではなく、隠そうと思っても滲み出てしまうのが個性だと思います。
その後、義母の借金問題、同居、そして2人で義母の最後を看取り、現在まで一緒にいますが、色々と2人で乗り越えてきたので仲がいいです。
子供の頃ならまだしも、もうある程度の年齢になれば嫌でも自分の出来ること、出来ないこと、得意なこと、得意じゃないことが分かってきます。
ただ、人間は案外自分に甘いので、自分の苦手なこと出来ないことは忘れがちです(笑)。
自分にも苦手なことがあるのを忘れて、相手の苦手なこと、出来ないことを正論をかざして無理強いすると不幸になります。
どっちかが辛い段階で、どんなに「正論」でも正しくないですよね(笑)。
私たちは、とても1人では解決できなかったことをエッチラオッチラなんとか2人で解決してきて、相手の苦手なことを無理強いしないで、
「じゃ、おれが料理するよ」
「ナビは私に任せてね」
と、うまい具合にお互いを補い合ってこれたのが、夫婦円満の秘訣かもしれません。
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