「老後資金2000万円不足」は誰に対して言ってるのでしょう?

パフォーマンスにしか見えません

「将来年金がもらえないんじゃないのか?」と心配している私たちの世代にとって、「年金だけでは生活できない」と言うのは常識ではないかと思っています。


金融庁が6月3日に発表した「老後に2000万円の金融資産が必要になる」と言う報告書が問題になり、麻生大臣が受け取りを拒否してまた炎上、与党、野党、識者等々、議論を戦わせているようですが、何を今さら感が否めません。


↓こちらが麻生大臣が受け取り拒否した金融庁の報告書です。


金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」


(PDFで40ページ以上のボリュームがあります。スマホでは読みにくいかもしれませんが、ご興味のある方はどうぞ。)


私は「元号が変わりますね・・・」でも書きましたが、日本には職業としての政治屋さんはいても政治家はいないと思っているので、今回の年金不足問題の国会でのやり取りを見ていても、どうしても斜めに見てしまいます。


麻生さんが報告書の受け取りを拒否したのは、参院選前に与党側に不都合な報告書だからなのかな・・・、拒否して認めない方が次の選挙に有利なのかな・・・。


年金が足りないと最初から分かっている野党も、与党に文句や批判を言えば「国民の味方」に見えると思い込んでるようにしか見えないし、ここで強く与党を叩けば選挙に有利になると思ってるんだろうな・・・。


という風にしか感じることが出来ません。


国会で議論するのは無料ではなく、国会1日あたり3億円も私たちの税金が使われています。


政治パフォーマンスは必要ないので、年金が足りない現実に各政党が向き合い、「これなら国民のためになる!」と言う政策で勝負して欲しいと強く願っています。



そもそも「老後資金2000万円不足」は誰に対して言ってるのでしょう?

今回の金融庁の報告書を読み解くと、

  • 夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦
  • 金融資産2,252 万円を持っている
  • 持ち家

という世帯がモデルで、年金等の月の収入約21万円に対して月々の平均の支出は26万円と、毎月5万円足りない。


「もし毎月26万円の生活を30年間続けるとしたら2000万円必要ですよ」と言うのが今回問題になっている部分です。


ただ私から見るとこのモデル、結構なハイスペックで、団塊の世代以上の、終身雇用で給与も年功序列、退職金もちゃんと出た世代、いわゆる「逃げ切り世代」と言われている方々をモデルにしているようにしか見えません。


つまり、私たち就職氷河期世代ともロスジェネとも言われる、非正規雇用でもがいている世代はこの「2000万円必要な枠にすら入ってないのでは?」と思えてなりません。


今ですらギリギリの生活をしている私たちの世代は、老後資金2000万円ではとても足りないでしょう。


政府の言う「人生100年時代」とは結局そう言うことで、「自己責任で生きている限り生活費を稼いで、税金、保険料を納めてください」と言うことだと思います。


ただ、高齢になってみんながみんな健康でいられる保証はどこにもありません。


これは私たちのケースですが、それまで元気そうだった義母は、70歳を超えてから一気に衰えて介護が必要になりました。


関連記事「義母の思い出・・・」


私たちの義母は嫁を連帯保証人にして借金をしていたり、特殊なケースではありましたが、財力のなかった私たちが、義母の最後の人生をちゃんと見送ることが出来たのか、今でも考えてしまいます。


金融庁の資料の中には以下のように書いてあります、

わが国では、バブル崩壊以降、「失われた 20 年」とも呼ばれる景気停滞 の中、賃金も長く伸び悩んできた。年齢層別に見ても、時系列で見ても、 高齢の世帯を含む各世代の収入は全体的に低下傾向となっている。公的年金の水準については、今後調整されていくことが見込まれているとともに、 税・保険料の負担も年々増加しており、少子高齢化を踏まえると、今後も この傾向は一層強まることが見込まれる。

金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」


要は年金の受給年齢が引き上げられたり、受給額を下げたりする調整はあるが、少子高齢化を踏まえると、税・保険料の負担は増加していくということです。


私たちはフリーランス、個人事業主になって一年目ですが、先日、住民税、国保、年金の納付書が届きました。


金額が大きすぎて、とても貯金にまで手が届きません・・・。


日本に住むってこんなにお金がかかるのかと考えさせられますが、今後もっと税金や保険料が上がるのに、公的サービスの質が下がることを考えると、とても安心して歳をとることが出来ません。



年金制度は歪んでる?

ここに、こんな資料があります。


相続税、贈与税について財務省が平成27年に発表した資料ですが、7ページ目の「年代別 金融資産保有残高について」の中に、

  • 年代別の金融資産残高をみると、この20年間で60歳代以上の保有割合はほぼ倍増。
  • 足元では、個人金融資産約1,700兆円のうち、60歳代以上が約6割(約1,000兆円)の資産を保有。

    財務省 相続税・贈与税説明資料P7より抜粋


日本人の個人の金融資産が1,700兆円もあるのに驚きですが、そのうちの6割を60歳以上の方々が持っているということにびっくりです。


しかもこの20年で保有割合がほぼ倍増・・・。


これだけ見てしまうと、本当に今の高齢者に年金って必要なのかなと思ってしまいます・・・。


つまり今の年金制度は貧しく人数の少ない世代が、豊かで人数の多い世代を支えているわけです。


当然、一部の富裕層の金融資産がデータの底上げをしている可能性も否定できないし、人口も多い。お金持ちの高齢者もいらっしゃれば、そうじゃない方もいらっしゃるとは思いますが、60歳以上の方々が日本の富の半分以上を持っているのは事実でしょう。


自分達よりも貧しい方々を支えるというなら納得もできますが、自分達よりも豊かな方々を支えるというのは、気持ち的にしんどいですよね。


むしろ私たちの世代の方が、少子高齢化問題を解決するためにも、高齢者の方々から年金をもらいたいくらいです(笑)。



愚痴ってしまってすみません・・・

本当は「まとめ」とか「私たちにできること」で締めたかったのですが、問題が大きすぎてまとめられないし、私のような凡人には何の解決方法も思いつきませんでした。


問題点ばかり取り上げて、何の解決策や提案もないのでは愚痴と変わりません・・・。


今回の、金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書 「高齢社会における資産形成・管理」は文脈のずれたところで議論されていますが、報告書の名前から分かる通り、資産の運用、投資をして個人個人が自己資産を増やし、老後の資金に充てることを推奨する報告書です。


私は何か胡散臭くて避けてきましたが、嫁はなぜか投資や資産形成に熱心で、よく勉強しています。


今まで耳を傾けてきませんでしたが、謙虚に嫁の話に耳を傾けなければいけないかもしれません。


私個人の立場で考えると、風々工房を太くして何か将来に繋げることと、将来、健康面で周りに迷惑をかけないよう、毎朝ランニングして健康に気を使うことぐらいでしょうか。


関連記事「ランニングはリハビリ?」


私たちもまだまだ模索中です・・・。






6件のコメント

はじめまして
興味のある内容だったので見に来ました!
老後2000万貯めておく…一体今の子育て世帯の何%がそこまで到達できるのでしょうか…
我が家はつい最近旦那のタバコで赤字になりなけなしの貯金を崩すハメになりました(´;ω;`)w
そもそもその試算を出す依頼をしたのは政府やし依頼した人がそもそも間違っているのかとか拒否したら責任転嫁になるとか考えつかんのかな?と不思議で仕方ないです…
国会で寝てる議員の給料と退職金を年金や税金に当てるとどれだけ補充されるのでしょうね(¬_¬)
国会なんぞおっさんやおばはんの足の引っ張りあいを見てるだけで何の代替え案もない議論に辟易します(¬_¬)
……私も愚痴らせてもらいましたww
結構私の周りに政治には興味ない方多くて話が通じないことも多くて色々話せるコメントに長々と失礼しましたm(_ _)m
またインスタの更新も楽しみにしてます!ありがとうございました!

コメントありがとうございます!

>結構私の周りに政治には興味ない方多くて
本当、そうなんですよね。
それをいいことに勝手にやりたい放題されてしまってる感じがします。

国会中継見てると、寝てる議員さん多いですよね(笑)。
そんな議員さんも地元では愛されて、選んでもらってあの席に座ってると思うと不思議です・・・。
国会1日3億円と考えると、削れるところはもっとあるように思えてなりません。

>そもそもその試算を出す依頼をしたのは政府やし依頼した人がそもそも間違っているのかとか拒否したら責任転嫁になるとか考えつかんのかな?と不思議で仕方ないです…
予算(税金)を使って作った資料なのに、どういうことなんでしょうね?
誰も得をしません・・・。
そんなことは分かっているから、じゃあどうするのかという政策を各党が作って議論すべきだと思います。

私たちは先に介護が来てしまい、子育て世帯にも届いていません・・・。
フリーランスを始めたばかりということもありますが、子供はもうちょっと先というか、今の色々な状況を考えると難しいです・・・。

ほんと愚痴にしかなりません・・・。

これからもよろしくお願いいたします・・・。

いつも楽しく拝見させてもらっています。年金問題についてですが、今年60歳になる方の平均貯蓄額は2900万だそうです。ただ、不思議なことに2000万以下の貯蓄の方は67%。100万円以下の貯蓄しかない方は25%ちかくもいるそうです。アンケートの集計してるところが異なっているのでもしかしたら、実情は異なるかもしれませんが、60歳の方たちの中でも貧富の差は大きいと思います。貧しい方も高齢の方の中には多く、逆に豊かな方たちは桁外れの額を貯蓄されているのだと思います。ただ、今後の世代には年金は回ってこないとは思います。それでも年金生活の今の高齢者でも大半は苦しい生活をされていると思います。
今後はもっと貧富の差は大きくなると思うと怖いですね…!

コメントありがとうございます!

2017年に国税庁が発表した日本人の平均給与額は432万円らしいです・・・。
そんなにもらってないよ!と思ってしまいますよね(笑)。

高齢者に限らずどの世代にも貧富の差はあると思いますが、60歳以上の方々にそんなに富が集中しているなら、高齢者間で年金を運用してもらって、あわよくば私たちの世代にも少し回して欲しいと思ってしまいます・・・。
所詮、夢ですが・・・。

それにしても私たちの世代、そしてこれからの世代の負担は大きすぎると思います。
しかも仰る通り私たちの世代、これからの世代には年金は回ってこないでしょう・・・。

>今後はもっと貧富の差は大きくなると思うと怖いですね…!
貧富の差は一代で終わらず、その世帯の子どもたちにも連鎖して、お金持ちはもっとお金持ちに、貧しい人はもっと貧しくなっていく・・・。
本当に怖いです・・・。

心から共感できます
私の義母も金銭感覚がバグってしまっていて
その上、少し心の風邪をひいて拗らせていて…
彼女の人生の終わりを見届けるのか…
と重い気持ちになっています。
なぜあんなに贅沢に、誰かに毎回始末をつけてもらう形のお金を使って遊んだ世代を支えなければ
という気持ち。
義母に関しては、私が夫ごと選んだ家族なので、納得して介護もできると思いますが…
義母世代には同様の方が多い(私の体感ですが)気がして、年金の話になると憂鬱になります。
しかし、真面目に苦労してきた人生で、年金で慎ましやかに生きているのもまた、その世代である気もしています。
もう少し年代があがると、同居が当然という家族観が根強くて、少ない年金でも息子夫婦と住んでいけるのでしょうが…
義母世代は子どもたちに同居を拒まれる方たちも多い…本当に年金が必要な人も確かにいる。一方で納得して気持ちよく支払えない部分もある。年金の話はまるで、終着駅があの世までない電車(快速)に乗ってしまった気持ちになります。

最後を看取る覚悟は重いですよねー。
私も「あ、結婚ってこういう意味なんだ・・・」と途中で気づきました。

どの世代にも貧富の差はあると思いますが、自分が恵まれてない層にいると辛いものです・・・。

「最後までレールは敷かれてるんだろうなー」
と思っていたら、実は敷かれていなかった感じですよね。

仰る通り、線路があろうがなかろうが、終着駅まで自分の力で走り続けなきゃいけないのでしょう・・・。

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