初秋の種まき|自家詐取したタネを蒔く_サムネ

2021|初秋の種まき|自家採種したタネを蒔く|大根、カラシナ、春菊、イタリアンパセリ

タネ、特に固定種のタネから作物を育てるのは難しいものです。


自然栽培を始めて3年経ち、毎年色々な作物にチャレンジしてみるものの、ちゃんと発芽して収穫できるまで育ち、最後に自家採種まで辿り着くことができたのは、今思い出しても10%くらいのもので、ほとんどの作物が我が家の庭に定着しないので、なかなか作物の種類が増えないのが悩みです・・・。


正直なところ純粋に収穫と家庭菜園を楽しむとしたら、自分でタネを採ることなんて考えずに、病気にも害虫にも強いF1種の元気な苗を買ってきて育てたほうが、よっぽど楽だしたくさん収穫できていいのかなと思う時もあります。


これまでの私の少ない経験から分かったことは、タネは大きければ大きいほど種まき後の管理が楽で自家採種まで辿り着く確率が高くなるということです。


無肥料、無農薬、不耕起(耕さない)の農法は、積極的に雑草を抜かないので、まず植えつけられた周りの環境に勝って芽を出す必要があり、芽を出してからも雑草との生存競争や、新芽が大好きな害虫の攻撃に勝ち抜いて成長する必要がありますが、タネが大きいと最初から大きいので単純に生存確率が上がります。


大きいというのは、それだけで有利で、芽が出ても芽自体が大きいので他の雑草と見分けがつきやすく、成長を見守りやすいですが、タネが小さいと(カラシナや小松菜の例外はありますが)、そもそも発芽した芽も小さいので、生存競争に負けてしまったのか、いつの間にか溶けるように消えてしまうことがほとんどでした。


そんなわけで、なかなか新しい種類の作物を増やすのはなかなか難しいわけですが、そんな中でもコツコツと自家採種できる品種を増やしてきて、今年の秋はいよいよ我が家で採れたタネだけを撒いてみようと思います。


固定種は発芽させるのも成長させるのも難しいですが、自家採種まで辿り着けば毎年環境に慣れてくれて、ある意味雑草化するというか、発芽率も株の成長もよくなって育てやすくなり、収穫も増えます。


今の時期、秋に植える野菜は冬と春に収穫が見込める作物です。


東京に住んでいた頃、私は野菜の知識が全くなく、冬に採れる野菜は全部ハウス物と思っていましたが、自分で野菜を育ててみると冬は害虫も雑草もないので、とくに葉物に関してはむしろ夏よりも冬の方が育てやすくてビックリしました。


ただ、どうしても秋冬は日照時間が短いし日射角度も低くなって、我が家のような狭い敷地だと日当たりのいい場所が限られてくるので、日当たりを好む作物(陽性)、半日向を好む作物(半陰性)、日陰を好む作物(陰性)と、作物の性質を考えながら植え付けしていきたいと思います。






大倉大根の植え付け

左:自然栽培の大根、右:普通栽培の大根
左:自然栽培の大根、右:普通栽培の大根



無肥料、無農薬の自然栽培を始めて一番醍醐味を感じたのは大根です。


我が家では、もともと大根よりも大根の葉っぱの方が好きなくらい葉っぱ好きで、スーパーで購入する時もなるべく葉付大根を買うようにしていました。


大根の葉っぱはホウレンソウよりも緑の味が濃く、油で炒めると本当に美味しいですよねー。


この大根、自然栽培で育てると葉っぱの伸び方が違います。


普通に育てた大根の葉っぱは垂直に上方向に伸びますが、肥料、農薬を与えないで育てると葉っぱが地面と水平方向に横に育ちます。


葉っぱの色も同じ作物とは思えないほど、普通に育てた大根は濃い緑色で自然栽培で育てた大根は緑の薄い黄緑色です。


近所の方に大根を頂いたので、葉っぱを切って水に挿しておいたら、頂いた普通の大根の葉は半日もしないうちにクタッとお辞儀してきましたが、自然栽培の葉っぱは1週間経っても先っぽの方までシャキッとしていました。


何しろ耕さないで育てているので、固い土を押しのけて育った自然栽培の大根は固く密度が詰まっていつまでもしっかりしています。


面白いもので、「これは同じアブラナ科のカブもいけるんじゃないだろうか!」とカブも植えてみましたが、育つのは大根ばかりで、カブはいつの間にか消えてしまいました・・・。


カラごと蒔いておいたら芽を出しました
カラごと蒔いておいたら芽を出しました



大根を収穫せずに放っておくと、紫のかわいい花を咲かせ始め、蕾の部分は菜の花としてお浸しにすると美味しいです。


その後先っちょがヒュンッとした小さいヒョウタンのような実を付けだしたらタネ採りです。


この実というかサヤの中にタネが入っているのですが、割と頑丈でサヤを割るのが大変だったので、サヤごと冷蔵庫にしまっておきました。


我が家の大根は「大倉大根」という品種で、最高気温が30度を下回ってきた時期が植え頃(30度を超えると発芽率が下がると言われています)なので、8月の終わりにサヤごと畑に蒔きました。


本来大根は「嫌好性種子」と言われているタイプで、光が当たらないように、しっかり土の中に植えないと発芽しないと言われていますが、試しに地面の上に適当にばら撒いたものでも発芽してくれていたので、今年は敢えて全部ばら撒きしてみます。


せっかく涼しくなってから植えたつもりだったのですが、9月に入ってからも30度を超える日が続き、一旦ばら撒いたサヤを回収して撒き直そうかなと思っていたところ、ちゃんと自分からサヤを割って発芽しているのを確認しました。


もしかしたらサヤごと植えたのが功を奏したというか、タネがサヤの中で守られて、自分の都合のいいタイミングでサヤから出てきて芽を出してくれたのかもしれません。


ただ、適当に撒きすぎたのか、大根が混雑しているところと、全く発芽していないところがあるので、もう少し大きくなったら植え替えをするべきか悩んでいます。






赤リアスカラシナ、春菊、イタリアンパセリ


赤リアスカラシナのタネ採り



カラシナは秋冬には葉物、春には菜の花、採取したタネをすりつぶしてビネガーと合わせればマスタードと、1粒で3度美味しい作物です。


本当はお浸しも美味しいのかもしれませんが、自然栽培で育てたカラシナの葉っぱはゴワゴワと固いので、油で炒めてソテーにした方が程よく辛味があって美味しいです。


カラシナは、それはもうたくさん実(サヤ)をつけて、中には細かいタネがたくさん入っているのですが、1個1個サヤを割れる分量ではないので、カラカラになるまで放置したサヤをまとめてレジャーシート等に包んで上から足で踏みつけてタネを採ります。


タネの大きさはゴマのように小さいのですが、我が家では発芽率80%くらいで、日当たりさえ良ければ育ってくれる優秀な作物です。


昨年は黄カラシナと赤リアスカラシナのタネを採種してあるのですが、同じカラシナを一緒に育てると交雑する可能性があるので、今年は赤リアスカラシナだけ撒きます。






春菊とイタリアンパセリのタネ採り

左か:イタリアンパセリのタネ、右:春菊のタネ
左か:イタリアンパセリのタネ、右:春菊のタネ



春菊とイタリアンパセリは、発芽率が低く芽を出させるのが至難の業で、生命力が弱いというか繊細というか、ようやく芽を出しても成長するのはごくわずかで、我が家では幻の作物と呼ばれています(笑)。


本来冬野菜の春菊ですが、我が家では冬の間に大きくなった試しはなく、すっかり諦めた春先になってから大きくなり出し、大きくなったらすぐに収穫しないとあっという間にとう立ちして花を咲かせ、美味しくなくなってしまいます。


本来、春菊の旬は冬なので、我が家の場合、畑の地力が足りてないか、日照が不足してるか、あるいは両方なのかもしれません・・・。


東京農大の収穫祭で頂いたイタリアンパセリは、生存率は低かったですが、一度根付くと、その後2年間(2年草なので)収穫し続けることが出来ました。


今年の春、突如巨大化(とう立ち)して花を咲かせて寿命が尽きるように枯れていきました。


春菊もイタリアンパセリも、花びらの真ん中部分がタネなので、しっかり枯らしてからタネ採りをします。






赤リアスカラシナ、春菊、イタリアンパセリの種まき

自家採種したタネをバラマキしていきます
自家採種したタネをバラマキしていきます



作物には相性というものがあるようで、今回植え付けする、

  • 赤リアスカラシナ(アブラナ科)
  • 春菊(キク科)
  • イタリアンパセリ(セリ科)

の、アブラナ科、キク科、セリ科の植物を一緒に植えると、それぞれの害虫が他の科の匂いを嫌って自然に害虫対策になったり、お互いに成長を促進してくれるコンパニオンプランツの効果が期待できるそうです。


秋に撒く葉物野菜は、暑すぎても発芽しないし、あまり発芽が遅れると育つための温度と日数がなくなってしまうという、非常にわがままな性質を持っていますが、お互い助け合ってくれるかもしれません。


今までは地面にミゾを切ってそれぞれ別々に植えていましたが、今回はミゾも切らずに上からバラバラと三種MIXでばら撒きしてみます。


住宅街にある我が家の場合、太陽が真上から照りつける夏の間は鬼のように日当たりが良いのですが、日射角度の低くなる秋冬は、周囲の家が影になって、特に畑のエリアは午前中しか日が当たらなくなります。


一方、昨年から実験的に作物を育てている南側の砂利エリアは、1年を通して最も我が家では日当たりのいい場所です。


今後の植え付け計画で、マメ科(絹サヤ、ソラマメ)を10月下旬に植える予定なのですが、比較的日当たりに左右されずに冬を越すマメ科を日当たりの悪い畑エリアに、日当たりがないと大きくなってくれない葉物系の赤リアスカラシナ、春菊、イタリアンパセリは、気温が下がり雨の多かった9月中旬に、雨上がりの晴れた日を見計らって日当たりのいい南側の砂利エリアにばら撒きました。


雨の翌日芽吹いていました
雨の翌日芽吹いていました



雨が続いた翌日、庭に出てみると赤リアスカラシナが発芽していました!


こんな砂利でも、日当たりさえあればちゃんと芽を出すんですねー。


これから寒くなる今の時期は夏場のように間引きに気を使わなくても、大きい優良な株だけ残って発育の悪い株は自然に淘汰されていくので、今の段階でワサワサ生えていても間引きに気を使う必要がありません。


もともと発芽率の悪い春菊とイタリアンパセリはまだ確認できませんが、赤リアスカラシナの発芽率が今までになくいいので、なんだか期待できそうです。


10月に入ってからも、最高気温が30度近くの日が続いているのが気になりますが、もう少し涼しくなったら芽を出してくれるかもしれません。


今までちゃんと育てたことのない春菊がどうなるか楽しみです。


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